道 路 関 連



(1) 名称 日本道路公団
JAPAN HIGHWAY PUBLIC CORPORATION (JH)
(2) 所在地 〒100−8979 東京都千代田区霞が関3−3−2 新霞が関ビル11〜17階
(3) 情報公開担当部署 総務部総務課
(4) 電話番号
(5) FAX番号
(6) ホームページアドレス http://www.jhnet.go.jp/
(7) 根拠法 日本道路公団法
(8) 主管官庁 建設省道路局日本道路公団・本州四国連絡橋公団監理官
(9) 設立年月日 昭和31年4月16日
(10) 事業目的 その通行又は利用について料金を徴収することができる道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理を総合的かつ効率的に行うこと等によって、道路の整備を促進し、円滑な交通に寄与すること。
(11) 子会社・関連会社数 公表数 4社
(12) 役員数・天下り状況 10名中7名(建設省4、大蔵省1、運輸省1、警察庁1)
(13) 役員報酬総額
(トップ年俸推定額)
2億9,700万円(3,861万円)
(14) コメント  高速道路の建設・運営を担っているのが日本道路公団である。日本の有料道路制度は公団設置以前から始まっていたが、管理体制が各地方ごとにバラバラだったことと、建設を国または地方公共団体が行っていたため資金調達が容易ではなかった。そこで、民間の資金を導入し、管理体制を一本化して、一括して料金を徴収できるようにするために同公団が設立された。
 その高い公共性のため、法人税等の非課税、政府の債務保証等、種々の特典が国から与えられている反面、事業計画、予算、資金計画等について、建設大臣の監督や認可を受ける。
 また、高速道路の料金については、運輸、建設大臣の認可を受け決定される。
 具体的な事業内容としては、有料自動車駐車場の建設と管理、高速道路における休憩所、給油所、その他施設の建設と管理、高速道路関連施設(トラックターミナルなど)の建設と管理である。
 資本金は、平成9年8月1日現在で1兆1,290億円であり、全額政府出資金である。
 事業資金は、政府出資金等の国費、調達資金、業務収入などで構成されている。そのうち調達資金については、道路債券の発行や民間金融機関からの借入れなどにより、長期かつ低利なものを継続的に調達している。
 財務状況に目を向ければ、固定負債は平成5事業年度から平成8事業年度までの4年間に、20兆円から23兆円と増加しており、そのほとんどが道路債券であある。平成8年度の支払利息は、債券分だけで9,000億円を超える。一区間の道路を造り、その借金をある程度払い終えて次の区間に着手するということをせず、開通した部分の通行料金収入に借金を加えて次の区間の工事のために使い、工事を繰り返していった結果が、莫大な負債という形になっているのである。借金のつけは、高額な通行料や国からの補助金となる国民の税金となって国民に回されている。確かに、道路整備は国民にとって欠くことのできない事業ではある。
 しかし、そのように莫大な費用を投じて建設された道路に対する利用者側の不満の声は大きい。道路を造っても造っても、慢性的な渋滞は解消されることがなく、高速道路利用者対象のサービスは割高である。高速道路の料金所窓口は少なく渋滞を招き、サービスエリア内のガソリンスタンドで給油をすれば、通常より1リットルあたり15円から20円は高い料金を払わされる。
 これら道路利用に付随する各種サービスを担うのが、当公団の関連会社である。
 当公団には直接出資している4社の他に、道路施設協会、高速道路調査会、高速道路技術センターの3財団法人がある。
 公団は法律で関連会社の設立を制限されているが、実際は建設大臣の認可を受けた公団直系の財団法人「道路施設協会」が35億円を出資し、67の会社を経営している。協会を中継地点として子会社を次々作り、公団の業務をほぼ独占受注してる。
 協会はさらに、全国の高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの占用許可を公団から受けて、レストランや売店、ガソリンスタンドなどを営業させている。
 ファミリー子会社67の95年度の収入は5,600億円。サービスエリアなどで運営を委託しているレストランなどの店舗の売り上げは約3,400億円。テナント料や直営店舗の売り上げ等を合わせた収入は、95年度で約738億円となる。経常利益は29億円(朝日新聞1997年3月14日より)。
 こうして親会社が赤字の一方で、子会社は利益を得て増殖していくのである。
 協会の12人の常任理事は、全員が建設省、道路公団のOBである。子会社や業務委託先の会社の社長にも、公団のOBの名前がずらりと並ぶ(前掲)。例えば、子会社の一つである高速道路調査会では、職員23名に対し役員23名という構成であり、天下りポストのためにあるといわれても仕方あるまい。
 このような関連会社問題については、自民党行政改革推進本部の特殊法人等の整理合理化案(第3次、平成9年8月26日)において、ようやく道路施設協会の業務独占排除、民間企業等の新規参入促進等が挙げられている。また同時に、公団への収益還元の拡充についても言及されている。
 当公団の多数の子会社、孫会社が業務独占により巨額の利益を上げているにも拘わらず、巨額の負債を抱える親会社から利益を吸い上げられることなく増殖している現状を早期に改善する必要がある。
 このように関連事業、関連会社を多く抱える公団であるが、その公表されている財務諸表等決算書類は、業務内容に比して極めて簡単なものでしかない。
 当公団のように、親会社は赤字でもそのバックの子会社が利益を上げているような場合は、現在の公表資料では現状を正確に把握できず、情報公開が不十分と言わざるを得ない。
 やはり株式会社のように子会社の財務状況、決算状況も含めた情報公開が必要と考えられる。
 同公団が管轄する高速自動車国道は、道路の建設費用を料金収入で返済できた時点で料金は無料となる一般有料道路と違い、プール制が導入されている(昭和47年から)。路線ごとの採算制を全国一体の採算制に切り替えたため、どこかで道路建設が行われている限り従来道路が無料になることはない。しかし、地方路線を使わない人間がその費用を賄うことになるこの制度への批判も多い。この制度も応分担制という観点から、見直す必要があると考えられる。
 平成7年2月24日閣議決定によれば、「日本道路公団については、現在審議を進めている運路審議会の答申を踏まえ、料金水準、公的助成の在り方、公団の経営力強化のための方策などについて所要の検討を行う。サービスエリア等における占用料の見直し、関連事業の検討等増収対策を推進するとともに、より徹底したコスト意識のもと建設費、管理費等の経費の一層の節減を図る。
 また、サービスエリア等を活用し、地域との連携強化を図るとともに、利用者サービス向上 の観点から料金徴収システムの改善等を図る。関連法人の業務について、広範な見直しを行い 、一層の競争性の確保や利用者サービスの向上を図る。また、公設省は有料道路の建設管理運営の民間委託制度導入の方針を決めるが、民間活力の導入により有料道路建設コストが下がり、公団の肥大化を抑えるためには、子会社、孫会社を含めた業務独占状態の解体が必須となるであろう。
(15) 最近の動向